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ハイグレ幻術に囚われた日向ヒナタ ①
突然ですがNARUTOのヒナタ、ハイグレ洗脳SSです。
別のSSが完結してないので投下するか迷ったのですが、ちょこちょこと書いていたら区切りが良いところまで書けたので、折角なので公開させていただきます。
また更新期間が空くのもあれですので……汗
でも、ごめんなさい前編ですので今回エロシーンがほとんど……。
代わりに、後編のイメージ画像的なラフを1枚載せて見ましたので見て頂けたら嬉しいです。
あと、仮面をつけて洗脳される的なシチュが描いてみたくて、そこが一応見所でしょうか…。(某所で同シチュの絵があったのが嬉しかったです!
後編ではヒナタがどっぷりとエロハイグレ洗脳されて、立派なハイグレ人間へと変えられてしまう予定です。
他SS、イラストなどを期待された方は申し訳ありますんがもう少々お待ちください!
では!
* * * * *
人の気配のない、里から少し離れた静かな森。
木の葉の忍である日向ヒナタは、任務のために、一人そこを歩いていた。
任務とはいっても、危険でも緊急でもない、簡単なものだ。
里のはずれに建てられ、今は誰も住んでいないという古い屋敷。
そこに、放置したままでは惜しい資料や巻物がいくつか保管されているらしく、それを探して回収してくるといった内容の任務だった。
任務は基本、チームとなって数人であたるものが常だが、そのようなお手軽任務だったため、ヒナタは一人で任務に赴くこととなった。
彼女がこの任務に抜擢されたのは、彼女の性格が大きな起因だろう。
良く言えば優しく思いやりのある、悪く言えば気弱で自己主張が苦手である彼女なら、このような簡単かつ少々めんどくさい任務を頼まれても何もいわないと思われたのである。
「あ、……あれかな?」
ヒナタはようやく見えてきた建物を前に、ぽつりと呟く。
情報通りの古ぼけた屋敷で、周りに生えている植物と部分的に同化しているような感じだった。
ふぅっとヒナタは一息入れて、歩みを止めた。
強い日差しで、じんわりと汗が流れる。
白と薄紫を基調とした厚手の上着に紺のズボンという、肌を露出していない服を着ていることも手伝って、少し暑い。
ヒナタは基本的に肌が隠れるような服しか着ない女の子だった。
貧相な身体をしているから、というわけではない。
むしろ、その逆だ。
実は同年代の少女に比べて明らかに豊かなプロポーションを誇っていたのだが、引っ込み思案な性格であるヒナタにとって、それは肌を隠す理由にしかなりえなかった。
暑そうにしているヒナタに、涼しい風が吹きかけられる。
腰近くまである長い髪をさらさらと揺らしながら、ヒナタは休憩もそこそこに建物の中へと移動する。
中は外見からくるイメージ通り、荒れ果て、所々草が生えていた。
おまけにかなり広い。資料が置いてある場所を見つけるだけでも、かなりの重労働となりそうだった。
が――。
(……白眼!)
ヒナタは両手で印を組み、瞳に力を込める。
視界のあらゆるものが鮮明で透明になっていき、屋敷の奥までもが隅々まで見えるようになっていく。
ヒナタの家系は『白眼』と呼ばれる貴重な眼を宿しており、戦闘はもちろん探索面などにおいても右に出るものはいない一族だった。
今回この回収任務に抜擢されたのは、そういった理由も少なからずはあった。
ヒナタは白眼で周囲を見渡してみる。
と、入り口からだいぶ離れた場所ではあるが紙や本、巻物が密集している区画を見つけた。
(……あそこかな?)
周りには、数は少ないが忍具や骨董品らしきものも置いてあるのが見えた。
それらも出来るだけ回収するようにと伝えられている。
「…………?」
ヒナタは、ふと首を傾げる。
(あれも……? でも、なんだか……)
ヒナタが気になったのは、忍具や骨董品の中に混ざっているひとつの仮面だった。
やけに派手な色彩の仮面であり、他の骨董品などに比べて明らかに異質な雰囲気を放っていた。
それに心なしか、変な気配を感じるような……。
少し戸惑いつつも、ヒナタはとりあえずそれらが放置されている区画へ向かった。
足場が悪く、何度も転びそうになったものの、ヒナタはなんとかその場に到着する。
幸いなことに、目的の場所は他に比べて小奇麗に残されており、足場も比較的に良い場所だった。
これなら作業もしやすい。
「えっと、まずは……」
ヒナタは再び白眼を発動させ、透視する。
今度は本や紙に書かれている文字や題名までもがしっかり見えるぐらい、力を込める。
(あれと、あの資料……あと、あそこに纏まってるのも……)
回収を命じられている資料をすぐさま見つけ、ヒナタは順にそれを取り出し集めていく。
白眼を使えば、一冊一冊チェックして探すような面倒なことも必要ない。
他の者ならこれだけでもかなりの時間がとられる所だろう。
と……。
オモシロイ チカラ オモチネ アナタ
「え……?」
ヒナタはびっくりして、思わず室内を見回す。
しかし、当然誰もいない。
念のため白眼でよりくまなく辺りを探ってみるが、やはり人の気配を感知することなかった。
何者かの奇襲ということもなさそうだが……。
(今の……声みたいなの……なんだったんだろう……?)
戸惑いつつも、ヒナタは再び散乱した資料や巻物の山へと向き直っていった。
それから、指定された資料をほぼ回収し終えたのは十数分後である。
「……うん。これで、全部かな」
呟き、ヒナタは白眼を解除した。
最後の巻物を、用意していたバックの中に詰める。
大きめのバックだったが、約半分ほど本や資料で埋まっていた。
「後は……」
部屋の奥に乱雑に放置されている忍具や骨董品の方をヒナタは向く。
……その中には、ヒナタが先ほど違和感を覚えた不思議な仮面も当然だか置いてあった。
これらを持ち帰れば、とりあえず任務は終了である。
ヒナタは手早くそれらをバックに詰め込んでいった。
「…………」
最後に、あの気になった仮面をヒナタはひょいと手に取った。
うろんげに眉を寄せながら、ヒナタはそれを観察する。
嫌な笑みを浮かべている、不気味な仮面だった。
今にも高笑いをあげてきそうである。
青と黄色、そして片方の頬には星を模った赤い塗り込みという派手な色彩が、よりその不気味さを際立たせていた。
(この仮面……本当に必要なのかな?)
ヒナタはそう思ったが、骨董品関連は持ち帰られるだけ持ち帰るよう命じられている。
それに、他の忍具や骨董品などに関してもどう必要なのかヒナタは詳しくは知らなかった。
仮面自体もあることは不思議ではないし、里でも暗部が仮面を使用している。
もっとも、このような派手な仮面を使用することは基本ないと思うが……。
少し悩みながらも、ヒナタは仮面も持ち帰ることにした。
バックの中に詰め込んでいく。
これで、あとは里へ戻って任務完了である。
「さぁ、里に戻らなくちゃ……」
ヒナタはバックを背負い、部屋を後にした。
そして……。
オモシロイ チカラ ステキナ カラダ イイワ アナタ キニイッタワ
バックの中で人知れず、声……というにはあまりにも小さすぎる、空気の振動が響く。
だが、ヒナタは今回、何も反応を示さなかった。
白眼を解除し探知能力が通常に戻っていたヒナタに、その声はあまりにも小さすぎたのである。
屋敷を出ると、昼の強かった日差しは陰を潜め、夕日に差し掛かる鮮やかなオレンジの光へと変わりつつあった。
「ふぅ……」
ヒナタは入り口の前でバックを置き、一時休息をとる。
そよそよと清々しい風が吹きオレンジに照らされた樹木が揺れ動く。
その光景が中々に綺麗で、ヒナタはつい木々の方へ近づき荷物から離れてしまう。
完全に仮面のことなど、頭の中から離れてしまっていた。
が、しかし……。
カタカタとバックの中が動き始める。
今にも何かが飛び出してきそうな勢いなのだが、ヒナタは景色を眺めることに夢中で気づく気配がない。
(そろそろ行かないと……)
そう思いヒナタは振り返る、が……。
「――えっ?」
ヒナタは時が止まったかのように凍りつく。
荷物の上で、何かが禍々しく浮かんでいた。
(あ、あれは……)
目を凝らし、ヒナタはそれが、あの何回も違和感を抱いた不気味な仮面であることにようやく気づく。
ふよふよとまるで生き物のように宙を舞うその姿は、嫌な笑みを浮かべているその造形も手伝い、とてつもなく不気味で、ヒナタに無自覚の恐怖を与えた。
仮面がヒナタに気づくと、くるりと裏面に翻った。
(な、なに……?)
ヒナタは狩人に狙われた小動物のように、身動きがとれなくなっていた。
そして……。
ワタシノ、シモベニオナリィィ――!!
「んんぅ――!!!?」
顔全体にかかる、何かがぶつかる衝撃。
それと同時に、ヒナタの視界が真っ暗闇に遮られた。
「ん―! んん―!」
息が思うように出来ず、言葉もうまくしゃべれない。
事態が呑み込めず、ヒナタは視界をどうにかしようと目元に手を這わせる。
すると、なにか堅い感触が指先をとらえた。
ヒナタは額や頬を確認して、ようやく気づく。
自分が今、あの不気味な仮面を着けさせられていることに。
ヒナタは首を縦に勢いよく振りながら、両手で必死に仮面を引き剥がそうとする。
だが、仮面はビクともせずにヒナタの顔に張り付いたままだ。
焦りをつのらせるヒナタに、さらなる追い討ちが彼女を襲う。
「んんっ――!?」
(この、感じ……まさか、幻、術……!? この仮面からっ……!?)
忍者の術の中でも、肉体ではなく精神を直接攻撃する幻術――ものによっては幻覚を見せたり、かけた相手に様々な秘密や情報を自白させたり、さらには術をかけた相手を操るなど様
々な効果を引き起こす力である。
その幻術によく似た力が、仮面から送られていることに気づき、ヒナタは焦る。
打ち消そうと懸命にもがく。
が、よほど強い力なのか、仮面から流される力はまったくといっていいほど弱まらない。
もし幻術を完全にかけられでもしたら、自力での解除はほぼ不可能になる。
これほどの力なら、尚更だ。
「んん――!! んんんっ――!!!!」
なりふり構っていられなくなり、仮面を顔から引き離すため躍起になるヒナタ。
地面に転がり、じたばたともがきながら、がむしゃらに手に力を込める。
だが、どんなに抗っても、術の根源であろう仮面は、ヒナタの顔から離れてくれることはなかった。
「んっ……、んっ……、んぅ……」
(あ、そんな……、も、う、だ、め、……、意識、がぁ……)
必死の抵抗も空しく、ヒナタの全身から力が抜けていく。
「うっ…うっ…、うぅっ……」
仮面を掴む力すらなくなり、ヒナタはなすがまま仮面を身につけ、大の字の格好でピクンピクンと震えながら、仰向けで地面にひれ伏す。
そんな彼女の姿を、夕方の艶やかな空の陽光が無言で照らしていた。
艶やかな輝きに照らされている四肢とは対照的に、ヒナタの意識は仮面が誘う妖しげな世界へと連れてかれようとしていた。
ホホホ サァ イラッシャイ ハイグレ ノ セカイ ヘ
うっすらと聞こえてきたその言葉を最後に、ヒナタの意識は深い深い闇へと堕ちていった。
[続]
次回イメージ的な……
ヒナタ「げ、幻術……、これはぁ、幻術ぅ……!」
???(クチュクチュ……)
ヒナタ「あぁっ……!」
別のSSが完結してないので投下するか迷ったのですが、ちょこちょこと書いていたら区切りが良いところまで書けたので、折角なので公開させていただきます。
また更新期間が空くのもあれですので……汗
でも、ごめんなさい前編ですので今回エロシーンがほとんど……。
代わりに、後編のイメージ画像的なラフを1枚載せて見ましたので見て頂けたら嬉しいです。
あと、仮面をつけて洗脳される的なシチュが描いてみたくて、そこが一応見所でしょうか…。(某所で同シチュの絵があったのが嬉しかったです!
後編ではヒナタがどっぷりとエロハイグレ洗脳されて、立派なハイグレ人間へと変えられてしまう予定です。
他SS、イラストなどを期待された方は申し訳ありますんがもう少々お待ちください!
では!
* * * * *
人の気配のない、里から少し離れた静かな森。
木の葉の忍である日向ヒナタは、任務のために、一人そこを歩いていた。
任務とはいっても、危険でも緊急でもない、簡単なものだ。
里のはずれに建てられ、今は誰も住んでいないという古い屋敷。
そこに、放置したままでは惜しい資料や巻物がいくつか保管されているらしく、それを探して回収してくるといった内容の任務だった。
任務は基本、チームとなって数人であたるものが常だが、そのようなお手軽任務だったため、ヒナタは一人で任務に赴くこととなった。
彼女がこの任務に抜擢されたのは、彼女の性格が大きな起因だろう。
良く言えば優しく思いやりのある、悪く言えば気弱で自己主張が苦手である彼女なら、このような簡単かつ少々めんどくさい任務を頼まれても何もいわないと思われたのである。
「あ、……あれかな?」
ヒナタはようやく見えてきた建物を前に、ぽつりと呟く。
情報通りの古ぼけた屋敷で、周りに生えている植物と部分的に同化しているような感じだった。
ふぅっとヒナタは一息入れて、歩みを止めた。
強い日差しで、じんわりと汗が流れる。
白と薄紫を基調とした厚手の上着に紺のズボンという、肌を露出していない服を着ていることも手伝って、少し暑い。
ヒナタは基本的に肌が隠れるような服しか着ない女の子だった。
貧相な身体をしているから、というわけではない。
むしろ、その逆だ。
実は同年代の少女に比べて明らかに豊かなプロポーションを誇っていたのだが、引っ込み思案な性格であるヒナタにとって、それは肌を隠す理由にしかなりえなかった。
暑そうにしているヒナタに、涼しい風が吹きかけられる。
腰近くまである長い髪をさらさらと揺らしながら、ヒナタは休憩もそこそこに建物の中へと移動する。
中は外見からくるイメージ通り、荒れ果て、所々草が生えていた。
おまけにかなり広い。資料が置いてある場所を見つけるだけでも、かなりの重労働となりそうだった。
が――。
(……白眼!)
ヒナタは両手で印を組み、瞳に力を込める。
視界のあらゆるものが鮮明で透明になっていき、屋敷の奥までもが隅々まで見えるようになっていく。
ヒナタの家系は『白眼』と呼ばれる貴重な眼を宿しており、戦闘はもちろん探索面などにおいても右に出るものはいない一族だった。
今回この回収任務に抜擢されたのは、そういった理由も少なからずはあった。
ヒナタは白眼で周囲を見渡してみる。
と、入り口からだいぶ離れた場所ではあるが紙や本、巻物が密集している区画を見つけた。
(……あそこかな?)
周りには、数は少ないが忍具や骨董品らしきものも置いてあるのが見えた。
それらも出来るだけ回収するようにと伝えられている。
「…………?」
ヒナタは、ふと首を傾げる。
(あれも……? でも、なんだか……)
ヒナタが気になったのは、忍具や骨董品の中に混ざっているひとつの仮面だった。
やけに派手な色彩の仮面であり、他の骨董品などに比べて明らかに異質な雰囲気を放っていた。
それに心なしか、変な気配を感じるような……。
少し戸惑いつつも、ヒナタはとりあえずそれらが放置されている区画へ向かった。
足場が悪く、何度も転びそうになったものの、ヒナタはなんとかその場に到着する。
幸いなことに、目的の場所は他に比べて小奇麗に残されており、足場も比較的に良い場所だった。
これなら作業もしやすい。
「えっと、まずは……」
ヒナタは再び白眼を発動させ、透視する。
今度は本や紙に書かれている文字や題名までもがしっかり見えるぐらい、力を込める。
(あれと、あの資料……あと、あそこに纏まってるのも……)
回収を命じられている資料をすぐさま見つけ、ヒナタは順にそれを取り出し集めていく。
白眼を使えば、一冊一冊チェックして探すような面倒なことも必要ない。
他の者ならこれだけでもかなりの時間がとられる所だろう。
と……。
オモシロイ チカラ オモチネ アナタ
「え……?」
ヒナタはびっくりして、思わず室内を見回す。
しかし、当然誰もいない。
念のため白眼でよりくまなく辺りを探ってみるが、やはり人の気配を感知することなかった。
何者かの奇襲ということもなさそうだが……。
(今の……声みたいなの……なんだったんだろう……?)
戸惑いつつも、ヒナタは再び散乱した資料や巻物の山へと向き直っていった。
それから、指定された資料をほぼ回収し終えたのは十数分後である。
「……うん。これで、全部かな」
呟き、ヒナタは白眼を解除した。
最後の巻物を、用意していたバックの中に詰める。
大きめのバックだったが、約半分ほど本や資料で埋まっていた。
「後は……」
部屋の奥に乱雑に放置されている忍具や骨董品の方をヒナタは向く。
……その中には、ヒナタが先ほど違和感を覚えた不思議な仮面も当然だか置いてあった。
これらを持ち帰れば、とりあえず任務は終了である。
ヒナタは手早くそれらをバックに詰め込んでいった。
「…………」
最後に、あの気になった仮面をヒナタはひょいと手に取った。
うろんげに眉を寄せながら、ヒナタはそれを観察する。
嫌な笑みを浮かべている、不気味な仮面だった。
今にも高笑いをあげてきそうである。
青と黄色、そして片方の頬には星を模った赤い塗り込みという派手な色彩が、よりその不気味さを際立たせていた。
(この仮面……本当に必要なのかな?)
ヒナタはそう思ったが、骨董品関連は持ち帰られるだけ持ち帰るよう命じられている。
それに、他の忍具や骨董品などに関してもどう必要なのかヒナタは詳しくは知らなかった。
仮面自体もあることは不思議ではないし、里でも暗部が仮面を使用している。
もっとも、このような派手な仮面を使用することは基本ないと思うが……。
少し悩みながらも、ヒナタは仮面も持ち帰ることにした。
バックの中に詰め込んでいく。
これで、あとは里へ戻って任務完了である。
「さぁ、里に戻らなくちゃ……」
ヒナタはバックを背負い、部屋を後にした。
そして……。
オモシロイ チカラ ステキナ カラダ イイワ アナタ キニイッタワ
バックの中で人知れず、声……というにはあまりにも小さすぎる、空気の振動が響く。
だが、ヒナタは今回、何も反応を示さなかった。
白眼を解除し探知能力が通常に戻っていたヒナタに、その声はあまりにも小さすぎたのである。
屋敷を出ると、昼の強かった日差しは陰を潜め、夕日に差し掛かる鮮やかなオレンジの光へと変わりつつあった。
「ふぅ……」
ヒナタは入り口の前でバックを置き、一時休息をとる。
そよそよと清々しい風が吹きオレンジに照らされた樹木が揺れ動く。
その光景が中々に綺麗で、ヒナタはつい木々の方へ近づき荷物から離れてしまう。
完全に仮面のことなど、頭の中から離れてしまっていた。
が、しかし……。
カタカタとバックの中が動き始める。
今にも何かが飛び出してきそうな勢いなのだが、ヒナタは景色を眺めることに夢中で気づく気配がない。
(そろそろ行かないと……)
そう思いヒナタは振り返る、が……。
「――えっ?」
ヒナタは時が止まったかのように凍りつく。
荷物の上で、何かが禍々しく浮かんでいた。
(あ、あれは……)
目を凝らし、ヒナタはそれが、あの何回も違和感を抱いた不気味な仮面であることにようやく気づく。
ふよふよとまるで生き物のように宙を舞うその姿は、嫌な笑みを浮かべているその造形も手伝い、とてつもなく不気味で、ヒナタに無自覚の恐怖を与えた。
仮面がヒナタに気づくと、くるりと裏面に翻った。
(な、なに……?)
ヒナタは狩人に狙われた小動物のように、身動きがとれなくなっていた。
そして……。
ワタシノ、シモベニオナリィィ――!!
「んんぅ――!!!?」
顔全体にかかる、何かがぶつかる衝撃。
それと同時に、ヒナタの視界が真っ暗闇に遮られた。
「ん―! んん―!」
息が思うように出来ず、言葉もうまくしゃべれない。
事態が呑み込めず、ヒナタは視界をどうにかしようと目元に手を這わせる。
すると、なにか堅い感触が指先をとらえた。
ヒナタは額や頬を確認して、ようやく気づく。
自分が今、あの不気味な仮面を着けさせられていることに。
ヒナタは首を縦に勢いよく振りながら、両手で必死に仮面を引き剥がそうとする。
だが、仮面はビクともせずにヒナタの顔に張り付いたままだ。
焦りをつのらせるヒナタに、さらなる追い討ちが彼女を襲う。
「んんっ――!?」
(この、感じ……まさか、幻、術……!? この仮面からっ……!?)
忍者の術の中でも、肉体ではなく精神を直接攻撃する幻術――ものによっては幻覚を見せたり、かけた相手に様々な秘密や情報を自白させたり、さらには術をかけた相手を操るなど様
々な効果を引き起こす力である。
その幻術によく似た力が、仮面から送られていることに気づき、ヒナタは焦る。
打ち消そうと懸命にもがく。
が、よほど強い力なのか、仮面から流される力はまったくといっていいほど弱まらない。
もし幻術を完全にかけられでもしたら、自力での解除はほぼ不可能になる。
これほどの力なら、尚更だ。
「んん――!! んんんっ――!!!!」
なりふり構っていられなくなり、仮面を顔から引き離すため躍起になるヒナタ。
地面に転がり、じたばたともがきながら、がむしゃらに手に力を込める。
だが、どんなに抗っても、術の根源であろう仮面は、ヒナタの顔から離れてくれることはなかった。
「んっ……、んっ……、んぅ……」
(あ、そんな……、も、う、だ、め、……、意識、がぁ……)
必死の抵抗も空しく、ヒナタの全身から力が抜けていく。
「うっ…うっ…、うぅっ……」
仮面を掴む力すらなくなり、ヒナタはなすがまま仮面を身につけ、大の字の格好でピクンピクンと震えながら、仰向けで地面にひれ伏す。
そんな彼女の姿を、夕方の艶やかな空の陽光が無言で照らしていた。
艶やかな輝きに照らされている四肢とは対照的に、ヒナタの意識は仮面が誘う妖しげな世界へと連れてかれようとしていた。
ホホホ サァ イラッシャイ ハイグレ ノ セカイ ヘ
うっすらと聞こえてきたその言葉を最後に、ヒナタの意識は深い深い闇へと堕ちていった。
[続]
次回イメージ的な……
ヒナタ「げ、幻術……、これはぁ、幻術ぅ……!」
???(クチュクチュ……)
ヒナタ「あぁっ……!」
コメント
No title
つ…続きをお願いします。気になってしょうがないですよ〜
Re: No title
コメントありがとうございます!
このSSのコメント頂いたは初めてなので、実はすごく嬉しかったりします(涙
こちらのSSも大方出来てはいますので、どうかもう少々お待ちください!
このSSの挿絵もけっこう描いていますので、あわせて楽しんでいただけたら嬉しいです。
このSSのコメント頂いたは初めてなので、実はすごく嬉しかったりします(涙
こちらのSSも大方出来てはいますので、どうかもう少々お待ちください!
このSSの挿絵もけっこう描いていますので、あわせて楽しんでいただけたら嬉しいです。
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