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ハイグレ幻術に囚われた日向ヒナタ ④

 * * *

「んんっ……!」
 足を開いたことで、ハイグレ水着がよりきつく食い込み、ヒナタは艶のこもった声をもらした。
「ふふ。驚いた? 残念だけど、あんたはもう自分の意思で身体を動かせないわよ。人間の心が残っているあんたより、ハイグレ人間の私の言うことの方を優先しちゃうから
ね。その水着を着ている限りは……」
「はぁ、はぁ……。そん、なっ……」
 ヒナタの顔が、あきらめの色に染まりかける。
「でも、身体の自由を取り戻すのは簡単よ? 心も私と同じように、ハイグレ人間に染めればいいのよ……」
 そう言って、サクラはあきらめかけるヒナタを誘惑する。
 しかし、ぎゅっと耐えるように目を瞑り、自分自身に言い聞かせる。
(あきらめちゃっ、ダメッ……! これは、きっと全部……幻術だから……。とにかく、自分の意志さえ、しっかり持ってさえいれば……! いつかは……)
 心を奮い立たせるヒナタ。
 だが……。
「ふぁっ!? あぁっ……!?」
 サクラが、ハイグレ越しの秘所を指でさすり始めた。
 ヒナタはたまらず、甲高い声をあげてしまう。
「うわ、もう、湿っちゃってるじゃない」
「あっ……、あっ……」
 サクラが言うように、ヒナタの股はすでにずいぶんと濡れていた。
 お股を隠すハイグレ水着のわずかな布部分も、液体をたっぷりと含み、ぐっしょりとなっている。
 ヒナタは恥ずかしさに押しつぶされそうになりながらも、心の中で必死につぶやく。
(げ、幻術……これは、幻術よ……)
 そう念じながら、ヒナタは前を見据えようとするが……。
 ……くちゅりっ、くちゅり!
「んうぅっ……!」
 股間から激しい水音が聞こえてくる。
 今度は水着の中に指を差し入れ、恥丘を刺激してくる。
 ポタ、ポタ、と快感の印が裸足の足元に垂れていく。
 ヒナタはたまらず、瞼を閉じた。
「どう? 気持ちいい? ヒナタ」
 と……。
「んっ……もう、すっかり……あっ、ぐしょぐしょね……んんっ……」
 サクラの艶のこもった声が、聞こえてくる。 
 見れば、サクラの方もヒナタに負けず劣らず顔を赤く染め、「はぁっ、はぁっ……」と熱のこもった吐息をもらしていた。
「もうっ、ヒナタのお股をいじってたら、私も興奮してきちゃったじゃない……」
 サクラはそう言うと、「……ヒナタも私のこと、気持ちよくしてよ」
 ヒナタにそう要求してくる。
 すると、ヒナタの右腕がビクンッと震え、
(あぁ……また勝手に……!!)
 サクラの股に、手を向かわせてしまっていた。
 サクラの大事な箇所を刺激する、ヒナタの右手の指先。
「ふぁっ、いいっ……! 上手よ、ヒナタ、その調子っ……」 
(いやぁっ……、ちがう、私、こんなことぉ……!!)
 サクラの褒め言葉を必死に否定するヒナタ。
「ほら、ご褒美よ、もっと気持ちよくしてやるわ!」
 そう言って、サクラは一度ハイグレ水着の中から手を出し、今度は水着を掴みあげた。
 引き上げられた水着が思い切り秘所に食い込み、ヒナタは「んああっ……!!?」と高い声をあげてしまう。
 今まで感じたことのない快感が、ヒナタの全身を包み込んだ。
「んあっ……、あぁっ……!」
「ふふっ、気持ちいいでしょう? ほら、私にもやって」
「ぁっ……あぁっ……」
 ヒナタもサクラの水着を掴み、同じようにぐいっと引っ張りあげてしまう。
 互いに水着を股間に食い込ませることで、快感を貪る二人の女忍者。
「っぁあ、そう、その調子よ、気持ちいい……!」
「ひぁあっ、あぁっ……」
 お互いの喘ぎが重なり合う。
 サクラは顔を寄せ、「ヒナタ、またキスするわよっ」と赤味のかかった顔で囁く。
 ヒナタは一呼吸置いてから、自ら唇を重ねてしまう。
 もちろん、ヒナタの意思ではない。
 サクラが身体を操り、無理やりやらせているのだ。
 その、はずなのだが……。
「んぁっ、んちゅっ……んふぅうっ……」
 本当に自分の意思ではないのか、ヒナタはだんだんとわからなくなってくる。
 サクラの水着を引っ張る自分の右手の感触が、サクラの舌と激しく絡みあう自らの舌が、そして、お股を摩擦してくる水着の食い込みが、ヒナタの心を麻痺させていく。
 頭がぼーっとして、何も考えられない。
 ただひとつ、『気持ちいい』という快感だけを除いて。
(あっ……あぁっ……。い……いい、よぉ……)
 もういっそ、このままその気持ちよさに身をゆだねてしまおうか、とヒナタは思ってしまう。
 だが……。
(だ、め……!!)
「ぷはぁっ。どう、ヒナタ? そろそろ、ハイグレがしたくなってきた?」
 ようやく唇を離すと、サクラは得意げな顔で問いかけた。 
 しかし、ヒナタは「……げ、幻術ぅ、これっ、幻術ぅ……」と汗だくの顔で呪文のようにぶつぶつと繰り返す。
 朦朧とした意識の中、必死に胸の中で呟いていた言葉が、声となって漏れ出ていた。
「……あ、あんたねぇ。そんな言葉でまだ自分を保とうとしてんの?」
 サクラは呆れつつ「こんな、気持ちよさそうに股を濡らしておいて」と水着を引っ張り食い込ませる。
 ヒナタの心境の変化をサクラの方も薄々察しており、すっかり堕ちたものだと思ったのだろう。
 しかし、ヒナタは「うぁっ……! あぁっ……!」と再び甲高い声を響かせはしたものの、やはりまた「げ、幻術ぅぅ……!!」という台詞を繰り返す。
「あ~あ、滑稽ね」 
 サクラはそんなヒナタの姿を鼻で笑う。「……まぁ、いいわ。そうして耐えていられるのも、後少しだし……」
 そう言って、サクラは掴んでいたヒナタの股部分の水着を放し、立ち上がった。
 一歩、二歩とその場から距離を取る。
 それを見て、ヒナタは自分の意志が耐え抜いたのかと、ほんの一瞬だけ期待する。
 が、当然そんなことあるわけがなかった……。
「――ヒナタ、立ちなさい」
 その一言で、ヒナタの足がピクリと反応した。
 ぎこちなく立ち上がってしまう。
「あっ、なっ……!?」
「なに驚いてんのよ。さっきからわかってたでしょう? ヒナタの身体の自由はもう私のものなんだって」
 サクラはおかしそうに、そう告げた。
 困惑の色を浮かべた顔に反し、胸を張って堂々と不動立ちしてしまうヒナタ。
 確かに、そんなことを言っていた気がする。
 しかし、まさかこんなことまで出来るなんて……。
「そう、なんでも私の思い通りにヒナタの身体を動かすことができるってわけ……」
 妖しくささやきながら、サクラはいやったらしくにっこりと笑った。
 ヒナタはゾクっと背中を震わせる。
 ま、まさか……。
 サクラが考えていることを察し、ヒナタは恐怖と同時にドクンドクンと心臓の鼓動を震わせる。
(まさか、サクラさん……)
「悪いわね~ヒナタ。本当ならこんなことしないで、自分から進んでハイグレしてほしかったんだけどね。……そうしないとあまりの気持ちよさに壊れちゃうかもしれないから。でも、ここまで強情だと、ね」
 サクラはそう言って、「みっともない姿さらしても、我慢してよね?」と告げる。
 そして……。
「さぁ、ヒナタ。私と同じように足を開いて。そして、私とまったく同じ動きをするの」
 命令するようにそう言い放ち、サクラはまるで相撲の土俵入りのように足の裏で地面をダンッダンッと叩き、いやになるぐらい足を大きく開いてがに股姿をさらす。
 や、やっぱり……!!
 あの、とんでもなく恥ずかしいポーズをやらせようとしているのだ。
 ヒナタは思わず悲鳴を上げそうになった。
 が、それよりも早く、太ももが震え、足が勝手に動きはじめる。
「いゃっ! やぁっ……!! やだあぁぁーっ!?」
 今まで出したこともないような声で、ヒナタは叫ぶ。
 いやいやと首を振って必死に拒絶する顔の挙動とは裏腹に、ダンッと足の裏を鳴らし、見事なまでのがに股ポーズを披露してしまうヒナタ。
 がに股になった拍子に、ハイグレ水着が今までにないくらい股間に食い込み、
「んほぉぉっっ……!?」
 ヒナタはびくんっ、びくんっと身体を震わせ、あられもない声を思わずあげてしまう。
 意識が一瞬、飛びそうになってしまう。
「ちょっと、たったこれだけでまさか壊れないでよ? ハイグレの快感はこんなもんじゃないんだからっ」
「あっ……、あっ……」
 サクラの叱咤が飛んだ。
 といっても、叱咤した当のサクラもハイグレ水着が食い込んで、気持ちいいのだろう。
 顔は真っ赤で、表情は今までにないくらいトロンとしていた。
 やがて、サクラは前かがみになり、スゥっと両の腕を振り上げる。
 その状態で、唇の端をにやりとつり上げ、告げる。
「さぁっ……たっぷりと教えてあげるわよ、ヒナタ。ハイグレの素晴らしさ……!」
「…………」
(だ、め……そんなことをされたら……も、もう……)
 ヒナタはうまく働かない頭の中で、漠然と思った。
 しかし、ヒナタの懇願もむなしく、サクラの腕は引き金をひくように股間に振り下ろされた。
「――ハイ、グレッ!!」
 掛け声と共に、ヒナタも股間のVラインに向かって腕を振り下ろし、そして、引き上げる。
 と……。
「……っっっ!!? あぁぁっーー!!」
 ヒナタは甲高い叫びをあげた。
 さすがに喉まで支配されているわけではなかったため、「ハイグレ」という掛け声まで出すことはなかったが、それでもすさまじいまでの快感がヒナタの全身に走る。
(あっ……あっ……)
 口をパクパクとさせるヒナタ。
 頭と心ではどんなに否定していようとも、ヒナタの身体はやはりもう、完全にハイグレ人間と化していた。
 たった一度のハイグレで、ヒナタの意識は、もはやあさっての方向にいってしまいそうなほどの快感に包まれてしまう。
 しかし、そんなクラクラな精神状況に反して、身体はせっせと勝手に動き、
「――ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!!」
「あっ! あっ!? あぁっ!? あひっぃいいいいっーー!!」
 連続のハイグレに、太ももをがくがくとさせるヒナタ。
 焦点が合わなくなった瞳で、だらしなく天を仰ぐ。
 もはや、何も考えられない。
 ヒナタの頭の中は、完全に真っ白と化していた。
 ただひとつの感情を覗いて……。
(き、き……きもひ、いぃ……)
 無意識に、そんな言葉を胸の中で呟く。
 ヒナタのハイグレポーズをとる度に出ていた悲鳴が、苦しむようなものから艶のこもった声へと少しずつ変化していく。
「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレェッ!!」
「あっ、ああっ! あああっ!! ………………あはっ!」
(こ、これ……この、ポーズ、いぃ……よすぎ、るぅ……)
 気持ちよさに、だらりと舌を垂らすヒナタ。
 まるでご馳走を前に涎を垂らす獣のような、はしたない顔をヒナタはさらしてしまう。
(いぃ……ハイグレっ……いぃ……こんなのぉ、腰ぬけひゃうぅっ……)
 お股から、淫らな汁がポタポタと垂れていく。
 そればかりか、黄色の液体が股の水着越しにちょろちょろと流れ始めた。
 ヒナタはハイグレポーズのあまりの快感に、おもらししてしまったのだ。
 あまりのみっともないヒナタの姿に、サクラは「あ~あ、だから言ったのに……」と上気した顔でクスクス笑う。
「ハイグレッ! ハイグレッ! さっさと堕ちてれば、そんな情けない姿さらさなくて済んだのにねぇ」
 サクラはそう囁くが、当のヒナタにはもう聞こえていない。
 そればかりか、もらしたことすら頭に入っていないだろう。
(あはっ……きもひぃぃ……きもひいぃ……これ、ハイグレ、きもひぃぃよぉ……)
 ハイグレすることの快感に、完全に支配されていた。
 ――ヤッチャ、ダメ、コレ、ゲン、ジュツ――
 どこからかともなく、声がきこえてくる。
 一番知っているはずの声なのに、今となってはずいぶん遠くへ行ってしまった声。
(どうしてぇ……? こんなに、きもちいぃのにぃ……)
 ヒナタはうるさそうにそう思った
 こんなにも、気持ちいいのに、このうるさい声はなぜ止めてくるのだろうか。
 どこからか、別の声が聞こえてくる。
『――いいわ、その調子よ、その気持ちよさに身を任せなさい、我慢することはないわ――』
(はいぃ……我慢しませぇん……ハイグレ、きもひぃぃ……)
 なぜか無償に愛おしさを感じるその声に自分の気持ちを肯定され、ヒナタは喜んでそう答えた。
『――そう、それでいいわ。そして、おなり。ワタシのシモベに――』
 ――ダ、メ――
(……かしこまりました)
 まだうるさい声が聞こえていたが、ヒナタは構わずその親しみを感じる声の方に、二つ折りで返事を返した。
 それっきり、あのうるさい声が聞こえてくることはもうなかった。
 一部始終を眺めていたサクラは、にやりと笑い、ハイグレを行う速度を落とし、やがて止める。
 まったく同じ行動をするように命令したので、ここでヒナタもハイグレを止めるなければいけないはずなのだが……。
「うぁっ! はぁっ……いぃ……。いぃっ……!!」
 ヒナタはいまだに、がに股で開いた股間のラインに向け、必死に腕を振り下ろしていた。
 身体の自由が再び、ヒナタに戻ったということである。
 すなわち……ヒナタの心がついに堕ちたことの証だった。
「……やっと、素直になったみたいね」
 サクラは嬉しそうに、つぶやいた。
 が、あることに気づく。
「あ、いけない。ヒナタったら、大事なこと忘れてんじゃない」
 サクラは歩み寄り、がに股姿のヒナタに囁きかける。
「ヒ~ナタ」
「ふぁっ、あぁっ……サ、サクラ……さんっ……!!」
「ふふん、ようやく自分の気持ちに正直になったみたいじゃない?」
 そう問いかけると、ヒナタはハイグレを続けながら、ぶんぶんと首を縦に振る。
「こ、こ、こんなのぉ……我慢、できないですっ……!!」
「そうよね。なんたっておしっこ漏らしちゃうくらい気持ちよかったんだもんね~」
 そう言われて、ヒナタははじめて自分が漏らしていることに気づいた。
 がに股の素足の間に出来た黄色みの水溜りを見下ろし、頬を赤くするヒナタ。
 そんな彼女に、「でも」と囁き、
「あんた、大事なこと忘れてるわよ。『ハイグレ』って、ちゃんと掛け声言ってないじゃない」
「は、はい、ぐれ……? あっ……」 
 ハッとするヒナタに、サクラは子どもを相手にするかのような口調で言う。
「ほら、ヒナタ、言ってみて? ……ハイグレっ!」 
「はッ……ハッ……、ハイグレッ……! ……ぅっ!!? ふあぁぁぁっっ……!!!?」
 流されるように『ハイグレ』とはっきり口にしたとたん、ヒナタの全身がびくびくっと快感に包まれた。
「ほら、もう一回! ハイグレ!」
「はっ、ハイグレッ! っふああぁ……!! ハイグレッ! ハイグレッッ!!」 
 サクラの指示通りもう一度そう叫ぶと、ヒナタは自ら進んで『ハイグレ』と連呼しながらポーズを再開する。
 がっつくようなヒナタの姿を見て、サクラは可笑しそうに笑う。
「あはは、『ハイグレ』って言うのと言わないとでは、気持ちよさが全然ちがうでしょ?」
「ハイグレッ! ……こ、こんなにすごいなんてぇ、ふあぁあっ、ハイグレッ! ハイグレェッッ!!」
 叫びながら、一心不乱にがに股でさらけ出した股間に、腕を振り下ろすヒナタ。
 汗と涎でぐちゃぐちゃになった顔で、ヒナタは完全になったハイグレの快感に悶える。
 やがて……。
「ハイグレッ! ハイグレッ! ふぁっ……あぁっ! サクラ、さんっ、私っ、もうっ、キちゃうっ……限界っ……!! 出そうっ!!」
 ヒナタは切羽詰まったような声で、突然サクラにそう訴える。
「ん~? イッちゃうの? いいよっ、イッて……おしっこも全部出しちゃいな」
「ふあぁっ……。イク、イクぅっ!! ハイグレッ!! ハイグレッッ!! あっ……あぁっ……!!」
 ――ハイグレッッ、いくぅううううっっっ!!!!!!
 びくびくと震えながら、ヒナタはついに初めてのハイグレによる絶頂を迎えた。
 勢いよく絶頂の証が、秘所から噴き出す。
 大の字で倒れこむと、今度は尿がショォォォと股から太ももにかけて大きな水溜りを作っていく。
「はぁ……はぁ……」
 放心しているヒナタに、サクラはしゃがみ込んで甘く囁く。
「どう、ヒナタ? 初めてハイグレしてイッた気分は?」
「……とっても、良かったです……」
 心地よさそうに、サクラの問いに答えるヒナタ。
「そう、じゃあこれで、ヒナタもハイグレ人間の一人ね?」
 サクラの言葉に、ヒナタは何の迷いもなく「……はい」と嬉しそうに頷く。
「魔王様の忠実なシモベの一人よ?」
「うん、私はハイグレ人間。魔王様の忠実なシモベ、です……」
 ヒナタはコクコクと首を縦に振り、『ハイグレ人間』と『魔王の忠実なるシモベ』という言葉の響きをうっとりと噛みしめていた。
 その事実を喜ぶかのように。
 その反応が、サクラには面白かったらしい。
 サクラは調子に乗って、問いかけを浴びせる。
「魔王様の命令ならなんでも従うの、いいわね?」
「ええ、もちろん……」
 これにも、素直に頷いた。
 しかし……。
「魔王様の命令なら、里だって壊滅させちゃうのよ? ヒナタの好きな『アイツ』とだって戦うの、いい?」
 この一言が――特に最後の方が、余計だった。
「魔王様の命令なら…………タタ……カウ……?」
 ぽつりと呟くと、ヒナタは押し黙り、突然、身体をうずくまらせた。
「んあぁっ……がぁっ、だめっ……だめぇっ……!!」
 頭を抱え、狂ったように悶え始めるヒナタ。
 サクラにとって、あまりに予想外の行動だった。
 まさか、まだ完全に洗脳仕切れていないのだろうか? とサクラは驚愕する。
「な、なによ、魔王様の命令がきけないっての? ヒナタ」
 怒り声でサクラはそう問いかけると、ヒナタはすぐさま「ちっ、ちがうんですっ……!!」と必死に訴え、首を振るう。
「魔王様、ハイグレ、大事……私、ハイグレ人間だけどっ……けどっ……うぅっ……!!」
 苦しげにヒナタは、そう告げた。
「けどっ……だめっ、……戦うのは……んあぁっ……!!!!」
 ジタバタと暴れるヒナタは、最後に、サクラの言ったある少年の名を呼んだ。
 それを聞き、サクラは察する。
 ヒナタは身体も思考も完全にハイグレ人間と化したものの、人間時に抱いていたとある少年への想いまでは捨てられなかったということだろうか。
 しかし、このままの状態だと、ヒナタの精神が壊れてしまうのも時間の問題だった。
 どうしたものかと焦るサクラと、もがき苦しむヒナタ。
 そんなふたりの前に――。
『――日向ヒナタ。アナタはちょっと勘違いしているわ――』
 と、鶴の一声が、天から降ってくる。
「あ……魔王様」
 あの仮面――いや、ハイグレ魔王が再び姿を現したのだ。
 それに気づき、ヒナタも「ま、魔王様……」と疑う様子もなくそう呼ぶ。
 そんなヒナタの様子に気を良くしたのか、魔王は『ンフフ。安心なさいっ、日向ヒナタ』と、やんわりとした声音で言い、
『悪いけどアナタの住んでいる里を襲うつもりも、支配下に置くつもりもないわよ、ワタシ』
 と、そう告げる。
 ヒナタはその言葉に「え……?」と呆けた声をあげて、
「ほ、本当です……か……?」
 と、問いかけた。
『ええ、嘘じゃないわ。最初に言ったはずよ? ワタシの今の目的は、ハイグレがとっても似合う身体をしている上に、便利な眼まで持っている日向ヒナタ……アナタをワタシの下僕にすることだと。だから、アナタが私のシモベになるのだったら、とりあえず、この世界に干渉する気はないわ』
 仮面はきっぱりとそう答えた。
 魔王の言葉に、ポカンとするヒナタ。
 やがて、その顔に「あっ、あぁっ……」と喜びのような、安堵するかのような笑みが、浮かび始める。
「――あ、あの、いいんですか?」
 横で聞いていたハイグレ人間サクラが、小声で仮面にこっそりとたずねる。
『ンフフフ、いいのよ。この子を調教してもらっている間、より深く、この子の記憶に侵入してこの世界の情報を大方得たわけだけど、正直ワタシのノリにあわなそうな固い輩ばっかで、やってらんないわ。わざわざ、こんな遠くてめんどくさい世界を支配しなくてもいいでしょう』
 仮面はサクラの方を見ず、涼しい声音でそう伝えた。
「そうですか……」と頷きつつも、ハイグレ人間サクラはなおも魔王の身を案ずるような眼で問いかける。
「でも、ハイグレ人間でありながら、人間の心を微妙に残しているヒナタをそのまま仲間に引き入れるのは、少し危なくはないですか? 反乱を起こす可能性も……」
『ホホホ。心配することはないわ。確かに、ハイグレ人間でありながら、このワタシ以外に心をよせる存在がいるというのは危険分子になりえるけど……ンフフフ、何事もバランスなのよ。それに、この子が想いを寄せている人物というのは、何でもこの世界のトップの一人になろうって子みたいじゃない。支配する気はないけど……ねぇ……ンフフフフフフフ」
 不気味な含み笑いを浮かべる仮面。
 それを見たサクラは、魔王なりの計画や深い考えがあるのだと感じて安心し、それ以上なにも言うことはなかった。
 魔王はヒナタに向き直り、改めて問う。
『――さて。ヒナタ、どうなのかしら? ワタシのシモベになる気はあるのかしら?』
「わ、私は……!」
 改めて問われ、ヒナタは少し言葉につまる。
 この格好も、あのがに股のポーズも、気持ちよくて大好きだ。
 それに、この仮面の人物も……ハイグレ魔王様のことも、幼少の頃から憧れていた彼とはまた別の意味で愛おしく感じていた。
 その上、里にも手を出さないという。
 もう、断る理由などない。
 だが、慎重で引っ込み思案な性格故、ヒナタはやはり決断に迷ってしまう。
 しかし……。
『ンフフフ。そうねぇ、もし、ワタシのシモベになるのならば――』
 そんなヒナタに対して、仮面が出した見返りのようなもの。
 それを聞いたヒナタは……。
 
 *  *  *
 
 
 チュンチュン、という鳥の鳴き声が響き渡る。
 数匹の小鳥たちが森の奥に集まり、あるものに関心をよせていた。
 こんな辺鄙な奥深くの森の雑草が生い茂る場所で、奇妙な面をつけながら大の字で倒れている少女である。
 当然、死体ではない。
 生きた肉体としての人肌の暖かさがあり、手のひらや足の裏、フードやズボンの中では汗がじんわりと浮かんでいる。
 仮面の中からは微かに吐息が漏れ出ていた。
 だからこそ、鳥たちは不思議に感じたのかもしれない。
 すでに何匹かの小鳥が少女の膨らんでいる大きなふたつの山や太ももの上に降り立ち、きょろきょろと観察していた。
 が……。
「――――ん」
 突然、少女の身体がビクンッと震え始めた。
 それを皮切りに、少女はぶるぶると小刻みに揺れ始める。
 小鳥たちは慌てて少女の身体から離れ、飛び立つ。
 まだもう少し様子を見ようと、鳥たちは上空に一時とどまるものの、やがて少女の身体が微かに浮かび、身体から謎の発光をまとい始めたところで完全に逃げ出してしまった。
「――んっ! ――んっ!」
 身体の震えは、止まらない。
 身体から漏れ出る光も、より強さを増していく。
 そして――。
「――――んんんっっ!!」
 まばゆい光が少女の身体を包みこんだ。
 光が収まり、再び、雑草の上にどさりと倒れ込む仮面の少女。
 身に着けていたズボンやフードは消え、代わりに、オレンジのきわどいハイレグ水着がびっちりと肌にはりついている。
 肉つきのよい身体のラインが、存分に晒されていた。
「…………」
 少女はついに、むくりと顔を起こす。
 仮面は付けたままなので、表情はわからない。
 しかし、やたらよたよたとしたぎこちない動きで、むくりと起き上がった。
 腕と手を力なくぶらぶらさせ、仮面を付けた顔を前に突き出すように佇む少女。
 その姿は、まるで仮面が本体のような、仮面に操られる人形のようだった。
 やがて、仮面がひとりでにカタカタと動き、少女の顔をすぅっと離れていく。
 ようやく仮面を外すことができた少女――日向ヒナタ。
 だが……以前の忍であった彼女は、もういない。
「あ――……」
 仮面がとれてしまい、呆けた声をもらすヒナタ。
 その表情は虚ろで、口元からは、だらしなくよだれを垂らしてしまっている。
 右の頬には、緑色の星型マークがくっきりと刻まれている。
 意思の感じられない、ぼんやりとした瞳。
 だが、仮面がくるりと翻ると……。
『――んふふふふ。気分はどうかしら?』 
 そんな高笑い混じりの問いかけが、ヒナタの頭の中に響いた。
「あっ……」
 ヒナタの脱力した表情に、みるみる力が宿っていく。
「……ま、魔王さま……!」
 ヒナタはうっとりとした表情で、そう口を開いた。
 ときに優しく、ときにおどおどと目を伏せていたヒナタの顔は、まるで別人のように、自信のみなぎった顔つきへと変化していく。
 あれだけ拒絶反応を示していた、ハイグレ魔王の組織の一員となることになんの疑いもなさそうな瞳。
 そして、左の頬に浮かび上がった魔王とおそろいの星型のマーク。
 ヒナタが魔王の忠実なシモベと化した証といえた。
『どうやら無事、ハイグレ人間になれたようねぇ』
 仮面がヒナタの背後に回り、囁く。 
 前かがみになっていた背筋をピンと伸ばし、自分の姿を見下ろすと、
「魔王様、このようなすばらしい姿にしていただき、ありがとうございます……。ヒナタはハイグレ魔王様の忠実なるシモベ……なんなりとご命令ください」
 嬉しそうにそう言って、ヒナタはハイグレ水着をいじる。
 より股間に、より尻の割れ目に、それが食い込むように、と。
 仮面――いや、魔王はその姿を満足気に見つめる。
『……ほほほ。この世界の言葉を借りるなら、ワタシの『幻術』にかかったといったところかしら』
 ぽつりと、魔王は愉快そうに言った。
 魔王の幻術――ハイグレ幻術にかかってしまったヒナタ。
 そして、それはもう、恐らくヒナタから解かれることはないだろう。
 ワタシノ、シモベニオナリィィ――!! という魔王の言葉はこうして見事に果たされたわけである。
 そんなことも気づかず、ヒナタは……。
「んふふ、さぁハイグレ人間ヒナタ、ワタシのシモベになった証をお見せなさい」
「……かしこまりました!」
 腰を落として、がに股になる。
 すぅっと股間のVラインに手を添え……。
「――ハイグレ! ハイグレ!」
 ヒナタの誇らしげなハイグレコールが、始まった。
「ハイグレ! ハイグレ! 
 わたしは、ハイグレ忍者にしてハイグレ魔王様の忠実なシモベ! ハイグレ人間、日向ヒナタですっ!
 ハイグレ魔王様! ヒナタをハイグレ人間にしていただき、まことににありがとうございます!
 日向ヒナタは魔王様に仕える忠実なるシモベ――どうぞハイグレ人間ヒナタになんなりと命令ください!
 ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレェーッ!」
 自分が魔王の忠実なシモベであるということを、誇らしげな笑顔とともにいやというほどアピールするヒナタ。
 夢の中で描いたヒナタの最悪な未来は、こうして現実のものとなってしまったようだ。
 もっとも、最悪というのも、ただの人間だったヒナタにとってであり、ハイグレ人間と化した今のヒナタにとっては最高の現実ではあるのだが……。
『ホホホホホ。よく言えたわね、ハイグレ人間ヒナタ』
「ハイグレッ!」
『では……さっそく来てもらおうかしら、私たちのもとへ』
 そう言って、魔王は仮面の下にうっすらと顕現させていた黒いマントを、はっきりと実体化させ、ヒナタを出迎えるように広げた。
 ヒナタは、何の迷いもなくハイグレポーズをとりながら歩み出す。
 だいじょうぶ、魔王様のいる世界とこの世界はあまりにも離れているため、時間の進み方がぜんぜん遅いのだ。
 そう、教えられた。
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
『ンフフフ。しっかり、ワタシのシモベとして働き、ハイグレの性能を引き出すのね。そうすれば……アナタの長年の夢は自ずと叶うはずよ』
 その言葉を皮切りに、マントがヒナタの身体をグワッと飲み込むように包み込み、そして、跡形もなく消えてしまう。
 こうして、ハイグレ人間と化したヒナタは木の葉の里から、旅立っていった。


 *  *  *

 


 

 あとがき

 お待たせしました、ヒナタのハイグレSSの続きです。
 今回でヒナタも完堕ちしました。
 若干男女カプっぽい終わりになりそうですが、どうかご了承ください(実は、ナルヒナ好きでして……
 次回、ハイグレ人間化したヒナタのエピローグでとりあえず一区切りとなりますが、そろそろ本当に挿絵も掲載したいので少々遅れるかもしれません。
 どうか、ご勘弁を……!
 では、ここまでお読み頂きありがとうございます!
 次回の更新で!

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プロフィール

正太郎

Author:正太郎
正太郎と申します
悪堕ちや洗脳、ハイグレや百合を扱ったエロ絵やSSを主体としております。
18禁でもなるべくソフトな路線を目指しておりますが、それでも苦手な方はご注意下さいませ。

※ 相互リンク受付中であります。

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